Interview

OKAMOTO’Sの『NO MORE MUSIC』が最高にヤバい!! バンドの成熟を見る極上サウンドを堪能せよ

OKAMOTO’Sの『NO MORE MUSIC』が最高にヤバい!! バンドの成熟を見る極上サウンドを堪能せよ

ロックオペラをコンセプトに、2015年の前作『OPERA』でバンドの新境地を切り開いた4人組ロックバンド、OKAMOTO’S。その後、CD&BD盤『LIVE』にまとめられた全都道府県を回る長期のツアー、シングルやEPのリリースを経て、7作目となる新作アルバム『NO MORE MUSIC』をついに完成させた。LOVE PSYCHEDELICOのNAOKIを迎えた「BROTHER」、堂島孝平を迎えた「WENDY」という2曲の外部プロデュース曲を含む全10曲は、ファンクを軸に、ロック、ポップ、ヒップホップを織り交ぜた硬軟併せ持つ彼らの個性をフィジカルなバンドサウンドに凝縮した会心の作品となっている。2006年の結成から11年が経過し、バンドとしての成熟と26歳のほとばしるエナジーが同居した最高の季節を迎えつつある彼らは果たして今、何を思うのだろう。

取材・文 / 小野田雄 撮影 / 関信行


「音楽なんてもういらなくない?」という曲を書いている時点で、どれだけ音楽が好きなんだよ(笑)

『NO MORE MUSIC』は、いろんなアイデアを形にしながら、音楽的に一本筋が通った、明確な一枚と感じました。まず、アルバムの経緯からお伺いしたいのですが。

オカモトショウ 『BL-EP』(2016年12月発表)というEPが自分たちなりに手応えがあったので、この流れのまま、アルバムに向かおうという話になって。ファンキーかつ、少し大人っぽいサウンドというコンセプトを掲げつつ、年末年始くらいから曲を書き始めて作っていった感じです。

オカモトショウ(vocal)

今回の作品はフィジカルなバンドサウンドが際立っていますが、去年の全都道府県ツアー(OKAMOTO’S FORTY SEVEN LIVE TOUR 2016)の経験も大きいのかな、と。

オカモトコウキ 去年、自分たちとしても初めての全都道府県でのツアーを経験したことで、4人だけのシンプルな楽器編成でもより洗練されたグルーヴを出せるようになりましたし、音の間を埋めてしまわず、間を活かした演奏に自信が持てるようにもなって。そういったバンドの自信も今回の作品にはすごくプラスに働いたと思います。

そのフィジカルなバンドサウンドはもっと言うと、ファンクグルーヴと形容できると思うんですが、ここにきて、ファンクがフォーカスされたのは何故なんでしょうね?

コウキ 初期の頃より黒人音楽に対する理解が深まって、それを曲作りに反映できるようになってきたというか、ようやく、やりたいことに自分の実力が追いついてきた印象です。

ハマ・オカモト あと、僕らがデビューしてから3〜4年は、60年代から70年代にかけてのロックがリヴァイヴァルで流行っていたと思うのですが、時間の経過とともに白人が黒人音楽の影響を受けた時代の音楽、70年代のディスコやAOR、ニューウェーブのファンクグルーヴが見直される時代になって、僕らもそうした音楽やサウンドの質感から影響を受けるようになったことも大きいですね。

オカモトレイジ(drums)

ファンクにはヒップホップも含まれていると思うんですが、KANDYTOWNの制作ディレクターを務めたレイジくんがこの作品に持ち込んだヒップホップの要素についてはいかがでしょうか?

オカモトレイジ 今の時代、もはや、ヒップホップは避けて通れないと思っていて。アメリカで流行っているメインストリームのシンガーの曲でもリズムパターンはトラップだったり、ヒップホップの影響が大きかったりするし、単純に自分たちの作品にも取り入れたかったんです。個人的には、ファンクというより、今っぽいサウンドを追求していったら、ファンキーな感じになったというのが意識としては強いかもしれない。(『BL-EP』ではKANDYTOWNのラッパー、呂布とMUDをフィーチャーした)「NEKO」や、それこそ2000年代のヒップホップを参考にした「Cold Summer」の2曲もそういう意識から生まれました。ロックとヒップホップが混ざったミクスチャーだと、ラウドロックに向かいがちだと思うんですけど、俺はラウドロックに寄せていくのがあまり好きじゃなくて。そういう意味で、「Cold Summer」では、2000年代以降のヒップホップと2000年代以降のロックが混ざった新しいサウンドを生み出すことができたと思ってます。

今回の作品は、ロック、ファンク、ヒップホップのクロスオーバーのひとつの回答であるレッド・ホット・チリ・ペッパーズの影響が色濃いように思いました。

ショウ まさに!

レイジ いろいろ作ってきて、結局「レッチリじゃね?」って(笑)。

コウキ&ハマ なりました(笑)。

ハマ 今回のタイミングで、レッチリを再度聴き直しました。OKAMOTO’Sのお手本として、レッチリは以前から意識していましたが、気がつけば、彼らも50代だし、以前のようには騒がれなくなりましたけど、ここにきて、彼らの作品を聴き返したことで、改めていろいろ気づかされたというか、全キャリアを通じて共感できるものがあって、勝手にグッときてしまいました。

ショウ バンドの温度感として、フォロワーとしてやれてる人たちは意外と周りにいないなと思っていて。どの時代のレッチリに影響を受けたのかということもありつつ、特にギターのジョン・フルシアンテが“いい曲”を書くようになったあたりのレッチリフォロワーはあまりいませんよね。

レイジ アルバムだと『カリフォルニケイション』あたり。

ショウ (韓国のロックバンド)ヒョゴが少し近いとも言われていたりはするけど。

レイジ いい線はいってるけど、ね。

ショウ 俺らは4人ともレッチリが長らく大好きですし、OKAMOTO’Sにとっては、ひとつのテーマだったりもしますが、好きだからこそ、「レッチリらしい曲を作りたいね」と曲を作り出すと、結果として全然違うものになってしまったり。

ハマ 逆にあまりに似すぎて、収録を見送った曲もあったり。だからこそ、今回の1曲目「90’S TOKYO BOYS」は高いハードルを突破して、OKAMOTO’Sなりのレッチリらしさを体現できた珍しいケースだと思っています。

オカモトコウキ(guitar)

その一方で、コウキくんがソングライティングを手がけた後半の曲はファンクのメロウな、メロディアスな部分を担っています。

コウキ そのとき自分が聴いていた音楽が、もともと好きだったAORやソフトロックだったり。もっと言うと、自分ははっぴいえんどや渋谷系が好きだったので、ある意味、回帰というわけではないですが、どんどん掘り下げていったら、もともと好きなものが溢れ出てきたという意識があって。たぶん、ショウもそうだと思うんですけど、ライヴやフェスで盛り上げる画を作りたい、頑張ってロック的なものを作ろう、と、そういう意識を取り除いていったことで、自然と生まれたのがメロウな、メロディアスな曲だったんです。それも、前半の曲たちと共通する部分もあって、それが肩肘張らないファンク感だったりするのかなと思います。

ハマ・オカモト(bass)

そして、「BROTHER」ではLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIさん、「WENDY」では堂島孝平さんをプロデュースに迎えています。

ショウ 「BROTHER」に関しては、去年のシングルなので、アルバムに向けて制作した曲という位置付けではないですが、NAOKIさんはデリコ(LOVE PSYCHEDELICO)の作品もそうですし、プロデュースを手がけたTHE BAWDIESの曲を聴いても、ポップスが好きな人に聴かせるロックをすごくわかってる人だなという印象で。俺らがやろうとしているのもそういう音楽だったりするし、NAOKIさんとは〈(Dream Power)ジョン・レノン スーパー・ライヴ〉でご一緒したときに、俺たちのことをすごい褒めてくれて。せっかくなら、褒めてくれる方と一緒にやりたいと思いました(笑)。

堂島さんはいかがでした?

ハマ 堂島さんとは実は付き合いが長いんですよ。

コウキ 僕らが17、18くらいのときから知ってくれていて、イベントに誘ってもらったこともあります。堂島さんにプロデュースをお願いしたのは、もちろん化学反応を期待していたところもありましたが、ストリングスアレンジや、コードのいじり方だったり、アレンジの面でプロフェッショナルな力を借りたかったんです。

ショウ 俺らが我流でポップスをやるよりも、ハードコアにポップスを極めてきた堂島さんにお願いしたということです。

そうしたサウンド面でのトライアルもありつつ、日本語、英語を交えたショウくんのリリックが自分の弱さを含めた内面を掘り下げているのも大きな進化ですよね。

ショウ そもそもいままでの自分の作詞は、憧れに近づくような感覚で、自分から遠いところにあるものを歌うところから始まっていて。
以前はひねくれすぎて、明るいことを明るく歌うことの狂気を描こうとしていた時期もあったり(笑)。
でも、ロックオペラというコンセプトのもと、物語を伝えるうえで必要な言葉があったり、主人公の感情も伝えていかないといけないという制約があった前作『OPERA』を形にしたことで、「BROTHER」以降、自分の弱さを見せるのもいいのかもしれないなと思えるようになりました。それが『BL-EP』の「NEKO」あたりから自分の感情さえもどうでもよくなって、起こったことや象徴する何かを形にすれば自分の感情を表現できるかもしれないと考えるようになったので、余白を活かしつつ、情景を事細かに描くようになって、昔住んでいた近所の公園の名前まで歌詞に登場させてみたり。
そうやって身近な日常を描くことで、意図せずして、自分の弱さも歌詞からにじみ出てきたのが今回の歌詞に繋がっています。

『NO MORE MUSIC』というアルバムタイトルも、言葉そのものからは音を発するバンドの葛藤を感じるんですけど、音と一体となったとき、にじみ出る想いはありつつ、そこまで重いタイトルではないというか。

ショウ そうですね。そこまで強いメッセージを込めてアルバムタイトルにしたわけではなくて。ただ、7枚目のアルバムですし、これまでたくさんの楽曲を作り上げてきて、今回もまたこうして曲を書いているけど、「この曲っていったい何なんだろう?」と、そんなふうに思った瞬間があったのはたしかだし、そうやって内面を掘り下げたアルバムが完成したときにすべてをうまくまとめてくれるキーワードになりそうだったので“NO MORE MUSIC”という言葉を選びました。だいたい、「音楽なんてもういらなくない?」という曲を書いている時点で、どれだけ音楽が好きなんだよという逆説的な意味も含んでいるというか(笑)。そういうポジティブなメッセージでもあるし、どうせ、俺らは音楽から離れられないことも自分たちでよくわかっていますから(笑)。この“NO MORE MUSIC”って言葉を目にして、「広がりが求められる今の時代になんでこの人たちは真逆のことを言ってるの?」と引っかかるような人や、単純にイラっとしたり、何かしら反応してくれる人は、音楽が好きだということだと思うし。このアルバムは、そういう音楽を愛する人たちに聴いてもらったときに何か残るようなものがあると思っています。

OKAMOTO’S “90’S TOKYO BOYS IN HALL”

10月7日(土)中野サンプラザ

OKAMOTO’S TOUR 2017-2018 NO MORE MUSIC

10月30日(月)恵比寿リキッドルーム
11月4日(土)仙台Darwin
11月5日(日)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
11月12日(日)金沢AZ
11月17日(金)浜松窓枠
11月18日(土)京都磔磔
11月19日(日)和歌山CLUB GATE
11月23日(木)青森Quarter
11月25日(土)札幌PENNY LANE24
11月26日(日)旭川CASINO DRIVE

12月2日(土)周南LIVE rise
12月3日(日)熊本B.9 V2
12月5日(火)鹿児島SR HALL
12月7日(木)神戸VARIT.
12月9日(土)松山サロンキティ
12月10日(日)高松DIME
12月15日(金)宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
12月16日(土)長野CLUB JUNK BOX

2018年
1月13日(土)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
1月14日(日)福岡DRUM LOGOS
1月20日(土)なんばHatch
1月21日(日)名古屋DIAMOND HALL
1月28日(日)Zepp Tokyo

OKAMOTO’S(オカモトズ)

オカモトショウ(vocal)、オカモトコウキ(guitar)、ハマ・オカモト(bass)、オカモトレイジ(drums)。
2010年3月に〈S×SW2010〉へ日本人男子としては最年少で出演。同年5月に1stアルバム『10’S』を発表。2011年には初のアジアツアー香港・台湾・ベトナム公演を敢行。2013年にCDデビュー5周年記念ツアー〈OKAMOTO’S 5th Anniversary HAPPY! BIRTHDAY! PARTY! TOUR!〉のファイナル公演に自身初となる日比谷野外大音楽堂でのワンマンを成功させる。
2016年、テレビアニメ『デュラララ!!×2承』オープニングテーマ「HEADHUNT」、映画『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』主題歌「ZEROMAN」、「日清カップヌードル」TVCMソング「Dance With You」などを手がけ、9月にロックオペラを現代版に昇華させたアルバム『OPERA』、12月にはアナログ盤「BL-EP」をリリース。
また、キャリア初の47都道府県ツアーも敢行。2017年は、5月にライヴCD『LIVE』をリリースしている。
本作をリリース後、10月7日に中野サンプラザにてライヴ、2018年頭にかけて全国ツアーも開催。

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