フロム・ソフトウェアのアクションRPGが死ぬほど面白い理由  vol. 4

Report

『ダークソウルⅢ』フロム脳ハンパない!!!至高のRPG 語り尽くせない魅力

『ダークソウルⅢ』フロム脳ハンパない!!!至高のRPG 語り尽くせない魅力

『アーマード・コア』シリーズ、『ダークソウル』シリーズなど、フロム・ソフトウェアが手がける作品はいずれも独特な世界でプレイヤーを熱狂的なまでに夢中にさせており、いつまで経っても各作品の続編を望む声は止むことがない。

本稿では、断片的に情報を与えることでプレイヤーの想像力を刺激する世界の見せかた、そして雰囲気を作り出す舞台としてもアクションゲームのステージとしても巧妙なマップ設計、この2点から『ダークソウル』シリーズの魅力を追求していく。多くを語らずしてユーザーを魅了する独特の雰囲気も本シリーズの人気を支える大きな要素だ。

文 / 村田征二朗


語りすぎない世界、それがいい

『ダークソウル』シリーズの確かな手ごたえと大きな達成感を兼ね備えたアクション性、レベルを上げてアイテムを駆使することで戦いを有利に運ぶことができるRPG要素は、まさに本シリーズをアクションRPGと呼ぶにふさわしい作品に仕上げている、ということは前回の記事で述べた通りです。そして、ダンジョン探索やレベル上げ、各地で集めた装備品やアイテムの使いかたを創意工夫するという要素に加えて、もうひとつRPGのエッセンスと呼ぶべきものがあります。それは、作品で描かれる世界への没入感です。

▲『ダークソウル』シリーズのビジュアルは、“古き良き王道ファンタジー”の雰囲気が満ちています

“Role Playing”、“役割を演じる”ゲームと銘打たれている通り、RPGにおいてプレイヤーはゲーム世界のいちキャラクターを演じることとなります。そこで目にする風景、出会うキャラクター、対峙するモンスターなどの世界を構成する要素が、システム的なものとして映るのではなく、その空気感や存在感、息遣いを感じさせてくれる作品こそ、優れたRPGとして印象に残るのではないでしょうか。

▲敵キャラクターも物語性を感じさせる外見であり、そのエリアの奥にいるボスがどんな相手なのかを想像させます

これは『ダークソウル』シリーズだけではなく、フロム・ソフトウェアが手がける作品全般に言えることですが、ゲームの舞台がどんな世界で、誰と誰が争っているのか、などといった設定についての解説は、直接的に細かく語られることはほとんどありません。ヒントを見せすぎず、プレイヤーに攻略方法を考えさせるアクション部分と同じように、キャラクターたちに世界の状況をすべて説明させるのではなく、その全容を想像させるための材料をプレイヤーに与える作りになっているのです。与えられる情報が少ないことで、逆にプレイヤーの好奇心と想像が掻き立てられ、イベントシーンのちょっとしたセリフから「○○と□□にはこんな関係があるんじゃないか」と推測してしまうことも珍しくはありません。想像の余地があることによって、プレイヤーたちの中でゲームの世界がさらなる広がりを見せていくのです。

フロム・ソフトウェアの作品を遊び続けていると、わずかな情報からさまざまな設定を深読みするようになっていく傾向があり、そのようにフロム・ソフトウェアの見せかたに適応した人を指す言葉として、ネットでは“フロム脳”という言葉も存在しています。そんな言葉が誕生、定着してしまうことも、フロム・ソフトウェアが作り出すゲームの独特な世界の見せかたがゲーマーたちの心を掴んでいることの証明であると言えるでしょう。

▲会話ができるキャラクター、いわゆるNPCたちも個性派揃いで、イベントを通して会話を重ねていくと愛着が湧いてきます

プレイヤーの想像力を刺激してくれるのはキャラクターたちのセリフだけではなく、装備品や消費アイテムなど、各アイテムの性能や出自が書かれた説明テキストもまた『ダークソウル』シリーズの世界を魅力的に見せてくれます。ロングソードやシミターなど、実在する武器などの説明テキストはシンプルに武器としての特徴を述べたものですが、NPCの装備品やボス撃破後に入手できるアイテムのテキストになると、単純な性能説明にひと味加えた文章になってきます。

▲ゲーム序盤で手に入る武器のテキストは性能の説明がメインであり、ゲームを始めたばかりのプレイヤーにとっては重要な情報源となります

▲ボス関連の装備になると、そのキャラクターに関する文章が加わり、性能面とは違った魅力が見えてきます

説明テキストはいずれも200字程度のものであり、ひとつのアイテムに長々と物語が書かれているわけではありません。しかし、その短さ、情報の少なさがいいのです。これもまたプレイヤーが自由に想像を働かせるきっかけとなり、読めば読むほど、書かれた内容から想像を広げれば広げるほど、プレイヤーは“フロム脳”に染まっていくことになります。

▲一部シュールで面白いテキストもあり、新規入手アイテムの説明はとりあえず読んでみるのがオススメです

世界が魅力的に映る作品の多くは、世界設定のすばらしさはもとより、それをプレイヤーに押し付けるのではなく、プレイを通してその世界を自然に受け入られるようなゲーム設計もあって評価を受けるものです。感じるべき感情を説明するのではなく実際に感じさせる、言葉でなく心で理解させる作りこそがプレイヤーにとって気持ちのいい伝えかたなのです。その点において、『ダークソウル』シリーズを含めたフロム・ソフトウェア作品は群を抜いています。明け透けに全容を語ることはせずに作品の魅力を伝えるスタイルは、「ストーリー全部を理解できてはいないけど、雰囲気が好き」というユーザーも少なからず生み出しているのです。ある意味、フロム・ソフトウェアの作品は登場人物や物語についての詳細を述べる近代的な小説よりも、キーワードが断片的にしか残されていない古くから残る神話や伝説に近い世界であると言ってもいいでしょう。

『ダークソウル』シリーズはゲームとしての面白さだけを見ても世界レベルですが、“世界を体験する”というRPGならではの楽しみでも、非常にハイレベルなゲーム体験を味わわせてくれます。ファンタジー好きな人が楽しむ作品としても、ファンタジーの世界を好きになるきっかけとしても、本作は非常にオススメです。

vol.3
vol.4