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「身体能力と世界初の演出で類を見ない舞台に」超体感ステージ『キャプテン翼』公開稽古レポート

「身体能力と世界初の演出で類を見ない舞台に」超体感ステージ『キャプテン翼』公開稽古レポート

全世界で8,000万部以上の売り上げを誇るサッカー漫画の金字塔『キャプテン翼』が世界初の舞台化! 描かれるのはフランス国際Jr.ユース戦後のアナザーストーリー。W杯優勝を目指す全日本チームと世界のU-20の選手たちが集結したクラブチーム・RED STORMと熱い闘いが繰り広げられる。公演は六本木ブルーシアターで8月19日から。熱のこもった公開稽古と囲み取材が行われた。

取材・文・撮影 / 竹下力


公開稽古前のスタジオはすでに役者たちの熱気に満ちていて、ボールをリフティングしながら談笑したり、ダンスやアクロバットの練習を繰り返す者も。そして、演出のEBIKENの掛け声ひとつで、最初のシーンから、10代にしかない輝きに満ちた稽古場に早変わりする。

フランス国際Jr.ユース決勝戦でドイツを破り、なんとか優勝を果たした日本代表選手たち。疲れ果てた選手は日本への帰国便で眠っている。ひとりひとりの寝姿に個性が表れていて、特に〈石崎了〉役の輝山立は大口を開けて白目を剥き、笑いを誘う。彼は終始コメディリリーフとして観客を笑わせる。

乗り継ぎでドバイに立ち寄ったメンバーは、8時間の待ち時間を余儀なくされることに。田中稔彦演じる〈ロベルト本郷〉はドバイの観光に出かけることをメンバーに持ちかけ一目散にタラップを駆け下りる。次々とタラップを降りていくメンバーたち。そして、飛行機内に残された最後の乗客の阿部丈二演じる〈山守ジェネラルマネージャー〉が携帯電話で不審な動きをみせる。どうやら国際ユースで戦った世界の猛者を集めたRED STORMという最強のチームを作ろうと画策しているのだが……。

ドバイの近代的な街並みに仰天するメンバーたち。そんな時でもボールを離さない翼。〈大空翼〉を演じる元木聖也の表情がサッカー好きの少年を、心の底から楽しんで演じているように見えて清々しい。同級生の〈石崎〉が、観光を楽しもうと〈翼〉からボールを奪おうとするが、それがいつしか、ドバイの市街をフィールドに見立てたサッカーゲームに。駆け巡る〈翼〉や〈石崎〉、さらには全日本のメンバーも入り乱れての鬼ごっこが始まる。

続いてのシーンでは、〈山守〉の策略によってRED STORMと戦うこととなり、メンバーたちが練習する風景から始まる。練習を始めようとしたところに突然現れるロベルト。その後に続く松永一哉が演じる豪胆な〈レオン〉と、どこかおどおどした斎藤准一郎演じる〈ポポロ〉。一緒に練習をしようと誘う翼の手を邪険に払うレオンのせいで、フィールド内は険悪な空気に。

合同練習が始まると、〈レオン〉と〈ポポロ〉の驚異的な身体能力に驚愕する全日本メンバーたち。このシーンでの見どころは息のあったダイナミックなダンスシーンだ。ダンスバトルのように、〈レオン〉たちがダンスで挑発すれば、全日本の選手が、ブレイクダンスやヒップホップダンスで応じる。十数名が入り乱れての迫力のあるダンスに圧倒されることは間違いないだろう。

最後のシーンは、全日本とRED STORMとの試合のシーンだ。最初に、フランスチームにいた〈エル・シド・ピエール〉役の西馬るいと〈岬太郎〉役の鐘ヶ江洸というライバル同士がバク転をしながら登場。試合開始のホイッスルが鳴り響く。彼らがボールを奪い合い、〈岬〉のタックルを華麗にかわしながら味方にパスをする。ここは稽古場なのでプロジェクションマッピングはないが、かえって役者のアクロバティックな動きや息遣いから、リアルな試合が垣間見える。激しい肉体のぶつかり合いがリアルなシーンを生み出す。交錯する全日本とRED STORM。

ここでの見せどころはやはり必殺技だろう。〈日向小次郎〉(松井勇歩)の敵DFをなぎ倒す迫力のタイガーショット、〈松山光〉(反橋宗一郎)の地を這うようなイーグルショット、〈早田誠〉(土井一海)の凄まじいカーブを描くカミソリシュートやカミソリパス、〈シュナイダー〉(北村悠)が放つファイアーショット、GKの〈若島津健〉(渡辺和貴)が放つゴールポストを蹴って飛び上がる三角飛び、心臓の疾患で数分しかピッチに立てない天才ドリブラー〈三杉淳〉(鷲尾修斗)のドリブル、そしてやっぱり外せない〈日向〉の雷獣シュート、そして〈翼〉のドライブシュートなど原作ファンなら垂涎ものの必殺技やフォーメーションのオンパレード。

身体能力の高い役者たちがキレのあるダンスやアクロバットを駆使しながら試合を表現し、ボールを操る。これぞ舞台ならではの興奮を味わえること確実だろう。

「キャプテン翼」おなじみのキャラクター性も余すところなく表現されている。キーパーの貫禄を見せる〈若林源三〉役の中村龍介の格好良さ。「ゴールラインからはゴールを決めさせたことがない」という必殺名言を残す男を背中で語る。そして、〈石崎〉のどんなボールも通さない顔面ブロック。情けないのにどこか憎めないど根性のキャラクターを輝山立が魅せる。ここではスローモーションで何度も顔面ブロックをさせるという舞台ならではの爆笑シーンも見られた。

惜しくもここから先は劇場でのお楽しみ。本公演では、ソニーの最先端インタラクションテクノロジーによる特注のハプティックウェアを装着するプレミアム体感シートがある。この特別なシートではシュートを受けた衝撃やキックの感触などをリアルに体感できる。また、世界で初めてフレグランス演出を演劇空間に導入。役者たちの身体能力と“初めて”だらけの演出の相乗効果でどんな超体感が味わえるのか、今から楽しみでならない。