第31回山本周五郎賞は小川哲『ゲームの王国』に決定‼ 三島由紀夫賞は古谷田奈月『無限の玄』。

第31回山本周五郎賞は小川哲『ゲームの王国』に決定‼ 三島由紀夫賞は古谷田奈月『無限の玄』。

第31回三島由紀夫賞・山本周五郎賞が16日夜、発表された。三島賞は古谷田奈月さん(36)の『無限の玄』、山本賞は小川哲さん(31)の『ゲームの王国』(上・下)がそれぞれ受賞した。

山本賞受賞の知らせを新橋の居酒屋で担当編集者らと聞いたという小川さんは、会場に着くなり用意された水をぐびり。「受賞すると思っていなかったのでびっくり」と心境を語った。

また、スーツではなくラフな服装で会場に現れた理由を聞かれた小川さんは「もし受賞して心境を聞かれたときに、びっくりしましたと言ってスーツを着ていたら、お前受賞する気まんまんじゃないかとなってしまうんで、スーツだけは着ないようにというのは決めていました」と言うと、会場からは笑い声が上がった。

SF作品では初の受賞となるが「候補に選んでもらったことはすごくうれしいが、歴代の受賞作を見て、自分には縁がないだろうと思っていました」と語った。

作家としての今後について、「面白い小説を書きたいという思いしかない。何に答えがあって、何に答えがないのかを問い続けたい。ジャンルにこだわらず、自分が面白いと思ったものを書き続けたい」と抱負を語った。

小川さんは、1986年、千葉県生まれ。東京大学大学院に在籍中。2015年に第三回ハヤカワSFコンテスト<大賞>を『ユートロニカのこちら側』で受賞し、デビュー。『ゲームの王国』は2作目。同作は2018年第38回日本SF大賞も受賞、さらに第39回吉川英治文学新人賞の候補にもなった。

取材・文・撮影/エンタメステーション編集部

書籍情報

第31回山本周五郎賞受賞作‼
『ゲームの王国』[体験版](上)

小川 哲(著)
早川書房
サロト・サル――後にポル・ポトと呼ばれたクメール・ルージュ首魁の隠し子とされるソリヤ。貧村ロベーブレソンに生を享けた、天賦の智性を持つ神童のムイタック。皮肉な運命と偶然に導かれたふたりは、軍靴と砲声に震える1974年のカンボジア、バタンバンで出会った。秘密警察、恐怖政治、テロ、強制労働、虐殺――百万人以上の生命を奪ったすべての不条理は、少女と少年を見つめながら進行する……あたかもゲームのように。

『ゲームの王国』(下)
小川 哲(著)
早川書房
「君を殺す」――大量殺戮の季節が生んだ、復讐の誓いとふたりの訣別から半世紀が経った。政治家となったソリヤは、理想とする〈ゲームの王国〉を実現すべく権力の頂点を目指す。一方でムイタックは自身の渇望を完遂するため、脳波測定を利用したゲーム〈チャンドゥク〉の開発を、早熟な少年アルンと共に進めていた。過去の物語に呪縛されながらも、光ある未来を希求して彷徨うソリヤとムイタックが、最後に手にしたものとは……。

第三回ハヤカワSFコンテスト<大賞>受賞のデビュー作‼
『ユートロニカのこちら側』
小川 哲(著)
ハヤカワ文庫JA
個人情報を提供する見返りとして、生活全般を保証する実験都市アガスティア・リゾート。理想的な環境で生きる人々が向き合うのは、進化と未来を啓示する”永遠の静寂”だった――『ゲームの王国』で話題を呼ぶSF新世代の俊英がユートピアの極北を描き出す! 解説収録/入江哲朗