ケイト・ブランシェット、安藤サクラを絶賛! 映画『万引き家族』是枝裕和監督、パルムドール受賞の感想を語る

ケイト・ブランシェット、安藤サクラを絶賛! 映画『万引き家族』是枝裕和監督、パルムドール受賞の感想を語る

「第71回カンヌ国際映画祭」で、最高賞のパルムドールを受賞した映画『万引き家族』の是枝裕和監督が、5月23日(水)に授賞式が行われたカンヌから凱旋帰国し、羽田空港内にて記者会見を行った。

本作は、さまざまな“家族のかたち”を描き続けてきた是枝監督が、「この10年間考え続けてきたことを全部込めた」と語る渾身の一作。高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に住む、柴田 治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太(城 桧吏)、信代の妹の亜紀(松岡茉優)、祖母の初枝(樹木希林)ら“家族”は、足りない生活品を万引きで賄っていた。犯罪でしかつながれなかった家族の“許されない絆”が、ある事件をきっかけに衝撃の展開を迎えていく。人と人との関係が希薄な今の時代に、真の“つながり”とは何かを問う、心揺さぶる衝撃と感動の物語だ。

パルムドール受賞の結果を受けて、日本公開館数は200館から300館に拡大、6月2日(土)、3日(日)二日間限定で先行上映が行われることも決定した。また5月28日(月)に販売開始となる、是枝監督書き下ろしの本作ノベライズ本も当初4万部だった初版販売数が3万部に重版、海外では149の国と地域で販売決定した。

羽田空港内にて行われた記者会見では、夜遅い時間にも関わらず、約80名のマスコミが詰めかけ、黄金に輝く“パルムドール”のトロフィーとともに登場した是枝監督に次々と質問が飛びかった。是枝監督は自身初のパルムドール受賞の感想をはじめ、公開間近の本作に込めた熱い思いを語った。

【会見内容】
――日本に帰国して、改めて受賞したことに対しての気持ち、そして帰宅したら何をしたいですか?
大きな賞であることが、本日このようにお越しいただいたマスコミの方の数をみてわかります。実感が湧くのはこれからだと思います。シャワーを浴びて一息ついたところですが、LINEやメールが山のようにたまっているので、お礼の返信をしたいと思います。

――最高賞を受賞したことによって、TVや映画の製作者としての心情の変化はあったりしますか?
変わらないです。スタンディングオベーションをいただいたときも嬉しいけど、TVディレクターの性でつい観察してしまって、純粋に楽しめないんです。それは、僕の強みでもあり、弱点でもありますが、これからも変わらず、TVにも映画にも関わっていきたいと思っています。

――『誰も知らない』では柳楽さんが主演男優賞、『そして父になる』では審査員賞は受賞されていますが、今作との反応の違いは?
前のことはあまり覚えていませんが、『誰も知らない』のときも温かったけど、あのときは子供たちの世話で手一杯で、それだけで終わってしまったという印象なんです。、宣伝としては大事だけど、拍手の長さというものは本質的なことではないと思っています。しかし、深夜でも熱い反応だったので、それに対しては前向きに受け止めました。公式上映後に受けた取材では、記者たちから「Touch」と「Love」という言葉が一番多かったんです。それで、届いたなと良い手ごたえは感じました。

――本作に出演したことで、城 桧吏くんが注目を浴びていますが、撮影中、城くんに驚かされたことはありますか?
普段は実年齢よりも幼いぐらい子供っぽいのに、レンズを通すと色っぽいんです。僕の演出上、子供には台本を渡さないので、桧吏も理解していない。でも周りの大人をよく観察していて、撮影が進むごとにカット割りを推測し始めたりしていました。そういう観察力が演技に生かされていたと思います。

――今後も世界に認められるような映画がつくられていくために、日本ではどうしていくべきだと思いますか?
いろいろな課題があると思います。現在は、オリジナル脚本で企画が通り映画が製作されることは少ないです。 新たな監督たちを生みだすことは、僕にとっても刺激になるので、映像集団をつくり新しい監督をデビューさせようとその支援を始めています。自分の身の回りからできることはやらないととは思っています。

――受賞後、NYに少し滞在されていたそうですが、その理由は?
いろいろ差支えがあって喋れないんですけど、近いうちに情報が発表されるかと思います。でも、打ち合わせは上手くいきました。そのときは、受賞してよかったなと思いましたね(笑)。

――名だたる監督の作品がある中で自分の作品が受賞された理由について、是枝監督の分析は?
分析というのは、自分で自分の作品を褒めることにもなりますよね? 自慢げに聞こえるようで嫌ですが……(苦笑)。でも、授賞式のあと映画祭公式のディナーの場で、審査員長を務められたケイト・ブランシェットさんに、授賞式後の公式記者会見の際にも仰っていただいたことと同様「演技、監督、撮影などトータルで素晴らしかった」と改めていっていただきました。また、安藤さんの芝居についても熱く語っていて、彼女の泣くシーンがとにかくすごかったと。「今後、私も含め今回の審査員を務めた俳優の中で、今後あの泣き方をしたら、彼女の真似をしたと思って」と仰っていて、その会話から虜にしたんだなとよくわかりました。元々付き合いのあるチャン・チェンは、「家族が見えない花火をみんなで見ているカットが素晴らしかった」といってくれました。ほかそれぞれの方たちとのやりとりが、審査員というよりは、シンプルに作品によって心を動かされたと言ってくれている感じで、良い時間でした。

――トロフィーは、NYへは持っていかず誰かに預けていたのですか? 再び自分の手元に返ってきたことへの気持ちは?
NYに持っていくには、筋肉痛が昨日やっとなおってきたくらい重すぎて(苦笑)。スタッフに渡して金庫に預けていたので、今日再会しました。思い出したのが、『誰も知らない』のときは、記者会見で柳楽くんにトロフィーを渡すといった感じのやりとりがあったと思いますが、今回は自分の手元に返ってきたといった感じ。一晩くらいは、抱いて寝ようと思います(笑)。

――映画の中で注目してほしいポイントは?
今回役者のアンサンブルがとてもうまくいきました。自分なりの子供への演出と演出も担える樹木さんとリリーさん、安藤さん、松岡さんも相手の演技を受けるのが上手でバランスがよかった。撮影している中で、惚れ惚れするくらいの演技もみせてくれたりと、監督としてはとても恵まれた環境で撮れたと思っています。

――映画ができ上がった際に、手ごたえはありましたか?
役者が素晴らしかったです。ケイトさんも仰っていた安藤さんの泣くシーンは、カメラの脇で立ち会っていても特別な瞬間だと感じましたし、そんなことがほかにも何度もありました。いろんな意味で化学反応も起こり、良い映画ができたと実感はしましたね。

【STORY】
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。
冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。

作品情報

『万引き家族』
6月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
音楽:細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ/松岡茉優、池松壮亮、城 桧吏、佐々木みゆ/緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美・柄本 明/高良健吾、池脇千鶴・樹木希林
配給:ギャガ
英題:shoplifters
©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
©2018万引き家族』 製作委員会

オフィシャルサイト
http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/