大金はトラブルの元⁉ 傑作ぞろいの大富豪×誘拐映画5選と映画『ゲティ家の身代金』の魅力

大金はトラブルの元⁉ 傑作ぞろいの大富豪×誘拐映画5選と映画『ゲティ家の身代金』の魅力

5月25日に全国公開された映画『ゲティ家の身代金』。

1973年ローマ。人質は【世界一の大富豪】であるアメリカ人石油王ジャン・ポール・ゲティの孫、ジョン・ポール・ゲティ三世。当時史上最高額ともいえる身代金を犯人はイタリア人左翼ゲリラに要求されたものの、その支払いを拒否した世界一有名な誘拐事件だ。

日本をはじめ世界中を震撼させた、この事件を現代のスクリーンに蘇らせたのは、映画『オデッセイ』『アメリカン・ギャングスター』『グラディエーター』『エイリアン』など、数々の不朽の作品を世に放つ、巨匠リドリー・スコット監督。

リドリー・スコット監督は、映画において鉄板とも言える大金持ち、或いはその近親者が誘拐される物語を、過去の同ジャンルの名作の長所を兼ね備え、人質の母親ゲイルがこの事件の裏側で誘拐犯と身代金を拒むゲティの間で戦い続けた姿を描くことで、現代における女性の立場に関する問題ともリンクした、非常に今日的なテーマも内包している作品にしている。

それでは、そんな人気の題材を扱った名作(本作を含む)を、日本の巨匠監督作品から、本作のメガホンをとったリドリー・スコット監督の弟トニー・スコット作品まで、誘拐された人物に焦点を当てて紹介していく。

【誘拐された人:製靴会社常務の息子!?】『天国と地獄』(1963年)
巨匠・黒澤明監督による傑作映画。毎日映画コンクールで日本映画大賞、脚本賞を受賞し、テレビドラマとして何度もリメイクされた本作。劇中誘拐されるのは、「子供を攫った」と犯人から電話の入った常務の息子ではなく、その息子と勘違いされた住み込み運転手の息子だが、そのまま3000万円の身代金が要求される。公開後、都内で誘拐事件が多発し、刑法改正の一助になったと言われるなど、スクリーンを超えて現実の世界にも大きな影響を与えた1本だ。

【誘拐された人:物産会社常務】『誘拐』(1997年)
渡 哲也主演、「ゴジラ」シリーズで有名な大河原孝夫監督によって生み出されたリメイク不可能と言われる名作。その理由として挙げられるのが、本作の目玉である身代金の受け渡しのシーンだ。日本映画撮影監督協会協力の元、日本を代表する名カメラマン木村大作を始めとする複数のカメラマンがあらゆる角度から一発撮りで撮影しており、エキストラも数百人規模で参加。実際の街を駆け抜ける一連の撮影を現代で再現するのは非常に難しいと言われている。

【誘拐された人:自動車部品工場経営者の娘】『マイ・ボディーガード』(2004年)
リドリー・スコット監督の実弟トニー・スコット監督がメガホンをとった本作。デンゼル・ワシントン演じる元軍人のボディーガードとダコタ・ファニング演じる少女との交流を描く。原作はA・J・クィネルの『燃える男』が原作であり、この小説はジョン・ポール・ゲティ三世の誘拐事件から一部着想を得ているとされており、時を隔て兄弟揃ってゲティ家にまつわる物語を映画化したこととなる。そんなゲティ家の人間には不可解な死を遂げた人間が複数人いるが、トニー・スコット監督自身も2012年に自ら命を絶っている。

【誘拐された人:ビール製造会社経営者】『ハイネケン誘拐の代償』(2015年)
世界的に有名なビールメイカー・ハイネケンの経営者が誘拐され、誘拐犯と誘拐された者の両方の視点から描かれている本作。誘拐されるフレディ・ハイネケンは非常に老獪で犯人達を翻弄する特異なキャラクターだ。犯人達はどうにか身代金を受け取るも、彼らの結束は金の前に崩れさってしまう。変わった老人と金によって人生を狂わされていく人間達というのは、『ゲティ家の身代金』にも通ずるものがあると言える。

【誘拐された人:世界一の大富豪の孫】『ゲティ家の身代金』(2018年)
本作は上記4作品全ての要素を兼ね備えた大富豪×誘拐映画と言っても過言ではない。ケビン・スペイシー降板から始まったセクハラ関連の運動は『天国と地獄』のように現実の世界で大きなムーブメントとなった。また、公開1ヶ月前に再撮影を決断し、なおかつ当初の公開予定日に間に合わせたその撮影は、『誘拐』の撮影同様、同じ日程では再現不可能とも言える。そして、本作の題材であるジョン・ポール・ゲティ三世の誘拐事件は、監督の実弟トニー・スコット監督の『マイ・ボディー・ガード』の元ネタでもある。さらに、世界一の大富豪にも関わらず孫の身代金を払わないという強烈なキャラクターは、『ハイネケン誘拐の代償』のハイネケンにも勝るとも劣らない。そんな本作の完成度は、「第75回ゴールデン・グローブ賞」監督賞受賞、クリストファー・プラマーの最年長での「第90回アカデミー賞」助演男優賞ノミネートなどが物語っている。

【STORY】
“世界中のすべての金を手にした”といわれる大富豪ゲティ。17歳の孫ポールが誘拐され1,700万ドルという破格の身代金を要求されたゲティは、こともあろうことかその支払いを拒否。彼は大富豪であると同時に稀代の守銭奴だったのだ。離婚によりゲティ家を離れ一般家庭の人間となっていたポールの母ゲイルは、息子のために誘拐犯のみならず<世界一の大富豪>とも戦うことに。警察に狂言誘拐を疑われ、マスコミに追い回され、疲弊していくゲイル。一方、一向に身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身に危険が迫っていた。それでもゲティは頑なに支払いを拒む。愛する息子を助け出すため、母は一か八かの賭けに出るのだった……。

作品情報

『ゲティ家の身代金』
全国公開中

監督:リドリー・スコット
出演:ミシェル・ウィリアムズ/クリストファー・プラマー/ティモシー・ハットン/ロマン・デュリス/チャーリー・プラマー/マーク・ウォールバーグ
脚本:デビッド・スカルパ
原作:『ゲティ家の身代金』ジョン・ピアーソン(ハーパーコリンズ・ジャパン刊)
配給:KADOKAWA
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オフィシャルサイト
http://getty-ransom.jp/

『ゲティ家の身代金』原作