「馬を使うとお金がかかる…」映画『パンク侍、斬られて候』石井岳龍×宮藤官九郎、白熱の映画談義

「馬を使うとお金がかかる…」映画『パンク侍、斬られて候』石井岳龍×宮藤官九郎、白熱の映画談義

現在公開中の綾野 剛主演映画『パンク侍、斬られて候』の公開を記念したティーチ・イン・イベントが渋谷TOEI②にて行われ、監督石井岳龍と、脚本を担当した宮藤官九郎が登壇した。

本作は、実写化不可能と言われた町田 康が2004年に発表した同名小説を宮藤官九郎(脚本)、石井岳龍(監督)で映画化したもの。主演の綾野を筆頭に、北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、村上 淳、若葉竜也、近藤公園、渋川清彦、國村 隼、豊川悦司と超豪華キャストが名を連ねている。

石井と宮藤は本編鑑賞直後の観客を前にして「熱い中ありがとうございます。今日は沢山しゃべります!」と挨拶。ティーチ・インでは、本作の熱烈なファンたちとの白熱のトークが繰り広げられた。何を思ったのか石井監督は、突然「この映画、分けがわからないっていう人もいるんですが、皆さんはどう!?」と確信に迫る逆質問を投げかけ、続けて宮藤が「全ての映画がわけ分かると思ったら大間違いだぞ!」と援護射撃すると会場は爆笑の渦に包まれた。

超個性的なキャラクターたちの軽妙な会話や、誰も予想の出来ないストーリーも然ることながら、特殊効果にも相当力を入れた本作。その特撮に関して石井監督は「今回の特撮はせめていました! 後半はほぼグリーンバックです。絵コンテに3ヶ月もかけました」と秘話を語ると、会場からは「おー」とどよめきが起こった。さらに「今回の特撮を担当してくれたのが尾上克郎さんなのですが、尾上さんとは26 年前の爆裂都市でのお仕事が初でした。彼からのアイディアは本当にすごくて、こちらからの無理な案に、逆に提案してくれたり、特撮は使わない方が効果的という提案までもらいました」と語り、『シン・ゴジラ』でも有名な日本の特撮の第一人者との熱い裏話を披露した。

ラスト近くの猿と人間との大合戦のシーンに関して問われると、石井は「猿が可愛すぎてしょうがないんです。感情移入しすぎて困るくらい」とコメント。すると宮藤も「出てきた瞬間に心を掴まれてしまうんですよね。最後の花火が打ちあがるシーンは台本にはなくてびっくりしました。あのシーンは猿と一緒に多くの時間を過ごした國村 淳さんの叫びが一番ピッタリですよね」と語り、お互い猿への並々ならぬ愛情を表した。

また、日本一の斬られ役として有名な福本清三の出演について問われると、石井は「『仁義なき戦い』で拝見したのが初めてだったのですが、もの凄い印象深かったです。念願の東映京都の撮影だったので、出てもらえますか? と提案したら快諾していただきました。福本さんは俳優の鏡ですね。そして京都の撮影所にはそういう方が沢山いるんです。もの凄くやりやすかったです。大変な撮影でしたが本当に助けていただきました」と京都で撮影できたことへの感謝の意を告げた。一瞬パンク侍らしからぬ真面目な雰囲気になりかけたことろで、宮藤が「実はこの映画、時代劇なのに馬が出てないんですよ! 黒和藩の殿様を演じた東出さんが、『馬ひけー』といいながら徒歩で出陣してる(笑)」と以外な事実を告白。すると石井監督が「そう! 時代劇なのに馬が出てこない! だって馬を使うとお金がかかるんだもん……」とのっぴきならない懐事情を明かすと、またもや会場からは笑いが起こった。

イベントの終盤、宮藤は「石井監督と作品が作りたかったんです。だから脚本を書くときはあまり映画になることを想像せず、そのまま渡してしまえと思いました。そもそもファンでしたから(笑)。普段は“僕の脚本が伝わりずらかったらやだな”と思うこともありますが、今回それが全くありませんでした。そして完成版はやっぱりすごかった!」と語り、対する石井も「僕はあまり文章が得意ではないし、宮藤さんとも仕事をしたかったのです。染谷さんの演じた幕暮のシーンなど、宮藤さんの筆が本当に走ってて嬉しかったです。これからも映画の組み立てや構成を考えてくれる脚本家の方と仕事をしたいですね。娯楽映画はそういう人と仕事したいです」と語り、お互いを心からリスペクトしあっていることを明かした。最後は「まだまだ話したりない! 
またこの企画やらせて下さい!」とコメント。惜しみない拍手と声援を背にしつつ2 人は会場を後にした。

【STORY】
ある日、とある街道に一人の浪人があらわれ、巡礼の物乞いを突如斬りつける。自らを“超人的剣客”と表すその浪人の名は掛十之進(綾野)。掛は「この者たちは、いずれこの土地に恐るべき災いをもたらす」と語るが…。次々とあらわれるクセもの達。ある隠密ミッションの発令によって始まる前代未聞のハッタリ合戦。そして一人の女をめぐる恋の行方と、一人の猿が語り出す驚きの秘密。今、あなたの想像をはるかに超える、驚天動地の戦いがはじまる!

作品情報

『パンク侍、斬られて候』
全国公開中
出演:綾野 剛、北川景子、東出昌大、染谷将太/浅野忠信/永瀬正敏/村上 淳、若葉竜也、近藤公園、渋川清彦/國村 隼、豊川悦司
脚本:宮藤官九郎
監督:石井岳龍
原作:町田 康『パンク侍、斬られて候』(角川文庫刊)
企画制作:dTV
配給:東映
©エイベックス通信放送

『パンク侍、斬られて候』原作