向井 理、赤堀雅秋・新作舞台『美しく青く』の魅力を語る。「生で観るべき題材です」

向井 理、赤堀雅秋・新作舞台『美しく青く』の魅力を語る。「生で観るべき題材です」

震災後の仮設住宅を舞台とした、人々の日常生活を描く赤堀雅秋の新作舞台『美しく青く』が、7月11日(木)より東京と大阪で上演される。上演前の6月某日には、主演の向井 理が登壇し会見を行った。

会見で向井は「自分たちの日常の延長線上にあるような生々しい世界観のなかで、自分だったら巻き込まれたくないような環境や状況も、客席から俯瞰で観ているとどこか滑稽で面白い」と、赤堀戯曲の魅力についてコメント。「劇中ではみんな結構下らない話をしているんですが、でもそれが今後の展開のヒントになったり、後に物事が大きくなる火種になったりする。いろんなところに種を蒔いて、最終的にはすべてが回収されていく。良くできた脚本だなと」と語った。

ただ、それは赤堀の実力もさることながら、演じる役者の力量も大きく、「それぞれがお芝居の中で少しずつ積み上げていくものがあって、それが大きければ大きいほど壊れたときの衝撃も大きくなると思うので。赤堀作品の常連である大倉孝二さん、秋山菜津子さんとは舞台での共演は初めてなので、お二人がどういう風に稽古に取り組んでいるのか、色々と盗めたら良いなと思います」と話している。

自身が演じる青木 保については、衝撃的なバックボーンがありながらも、それを演劇的に増幅させたキャラクターであると見ており、「人間誰しも大人になるとネガティブな記憶や経験は、ひとつやふたつはあるもの。そういう憐れみや哀しみを抱えているのが人間という動物だとも思うので。きっとどこかに自分と共通する部分があると思う」と言及。

また、本作のようにまるで覗き穴から他人の生活を垣間見るような、“生々しさを感じる作品”については、「そういう世界観を作るにはやっぱり本物というか、リアルに演じる必要があって。傷つく部分は本当に傷つくとか。そういう生々しい呼吸や息づかいを体験できるのが、赤堀作品の醍醐味でもあると思います。役者としては難しく、ハードルが高い」と表情を引き締める向井。一方で「でも、そういう超えられるか超えられないかのギリギリのところで舞台はやりたいと思っているので。好きな演劇ですし、挑戦しがいがある」とも語った。

舞台については、どちらかと言えばツラく大変なことの方が多いが、1年に1本のペースで出演するのが理想とのこと。「気持ちを途切らせることなく役を演じきれる、数ヵ月間役と台詞に向き合える、数百人の観客と対峙できる」と言い、「何より、初舞台での印象が強くて。後悔や失敗、緊張を経験してツラかったんですけど、千秋楽を迎えた時に『この景色をまた見てみたい』と、最後まで行かないと見えない景色があって、もう一度舞台をやりたくなった。それで次の作品に挑んで、初日の前日に『もう二度とやりたくない』と思うんですけど、千秋楽ではまた『この景色を見てみたい』と思ってしまった(笑)」と明かした。



最後にタイトルに込めた思いに触れつつ、「残念ながらここ数年の日本では、震災というものが身近な存在になっていますが、震災を描くというよりは、そういうところにも日常はあって、じゃあ日常ってなんだろうという問いかけなんだと思う。赤堀さんがタイトル『美しく青く』に込めた思いというのは、例えば大変なことが起きても、ふと見上げた空の青さに気が晴れることもあるだろうし、良いことも悪いこともあるけど、結局は何でもないところにループする。24時間経ったら明日は来るし、生きていかなければならない。その中で、自分にとっての生きるとは、日常とは何だろうというのを少しでも考えるきっかけになれば。生で観るべき題材ですし、ライブでしか得られない感情の動きがあるはずです。それを目の当たりにして頂ければ、ありがたいなと思います」と観客にメッセージを贈った。

取材・文/石橋法子 撮影/田原由紀子

【STORY】
震災から数年たったとある日本の集落。獣害に悩まされる人々は自警団を結成し、日々対策に追われていた。自警団のリーダーとして住民の士気を高めたい青木 保(向井 理)。妻・直子(田中麗奈)は認知症の母・節子(銀粉蝶)の介護に追われ、同級生で農家の古谷 勝(大東駿介)は協力的だが、片岡昭雄(平田 満)は頑なに活動に協力をしようとしない。峰岸春彦(駒木根隆介)は熱意に乏しく、役場の箕輪 茂(大倉孝二)はどっちつかずの対応と、事態は一向に改善されず。自警団の青年・林田 稔(森 優作)は東京に憧れ、勝の妹・美紀(横山由依)は都会に疲れて帰郷する。佐々木幸司(赤堀雅秋)、順子(秋山菜津子)夫婦が営む居酒屋では、今日も猟師の落合秀樹(福田転球)ら馴染み客が、他愛もない話に花を咲かせる。何気ない日常のどこにでもある風景。しかし保の熱意が火種となり、少しずつ彼らの日常は熱を帯びはじめて…。

公演情報

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019 『美しく青く』
【東京】
7月11日(木)~28日(日)全22回 
Bunkamuraシアターコクーン 
主催:Bunkamura

チケット料金(全席指定・税込):
・S席 10,000円
・A席8,000円
・コクーンシート5,000円
・U25(25歳以下当日引換券)3,500円

チケット発売中

【大阪】
8月1日(木)~3日(土)全4回
森ノ宮ピロティホール
※詳細は後日発表

作・演出:赤堀雅秋
出演:向井 理、田中麗奈、大倉孝二、大東駿介、横山由依、駒木根隆介、森 優作、福田転球、赤堀雅秋、銀粉蝶、秋山菜津子、平田 満
スタッフ 美術:土岐研一
照明:杉本公亮
音響:田上篤志
衣裳:坂東智代
ヘアメイク:鎌田直樹
演出助手:相田剛志
舞台監督:南部丈
企画・製作 Bunkamura

Bunkamura オフィシャルサイト
http://www.bunkamura.co.jp/
Bunkamura 『美しく青く』作品ページ
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/19_utsukushikuaoku.html