ガールズケイリンは男子よりも落車時の危険性が高い?過去の事例や死因から現在の事故について調査
ガールズケイリンでの怪我や死亡事故の調査結果
公営競技で唯一の人力勝負である競輪。
その熾烈な争いは時に「格闘技」とも比喩されるほどで、危険と隣合わせであることも事実です。
悲しいですが、死亡事故や大怪我などで選手生命に影響した事例も。
それは人数の多い男子選手だけでなく、華やかに見えるガールズケイリンの女子選手も同じ。
そこで、ガールズケイリンでも過去に死亡事故が発生したのか、レース中に発生した事故でのケガはあったのかを調べてみました。
死亡事故まで起こる競輪競技の危険性とは?
競輪は時速70キロ近くのスピードで勝負する競技です。
車ほどのスピードが出ている中、レースで使う自転車にはブレーキは無く、足も固定された状態で走ります。
聞いているだけでも危険なのがわかると思います。
レース中の事故で大半を占めるのが落車です。
レース中に他の選手と接触したり、前を走る選手が転倒して避け切れずに自分も転倒したりします。
落車をすれば自転車が体に当たり骨折などのケガに繋がるし、転倒した際に打ちどころが悪ければ死亡するケースもあるのです。
その危険性はガールズケイリンも変わりありません。
ガールズケイリンは男子の競輪と違い、ラインが無く個人でレースをする印象が強いのも特徴です。
それでも勝負どころのラスト1周になればレースは激しくなり、選手同士の接触も発生します。
接触が発生すれば落車の可能性が高くなるのは当然ですね。
つまり、男子でもガールズでも落車の危険性は常にあるということです。
死因の多くが接触事故による落車
レースが激しくなればなるほど落車の危険度が高まる競輪。
そして死亡事故に繋がるケースもあります。
その多くの死因は選手同士の接触による落車です。
今までにレース中の死亡事故は7件発生していて、そのうち5件が落車によるものでした。
直近で起きた競輪の死亡事故は2012年7月7日に小田原競輪。
ゴール直前で落車した選手を避ける為に進路変更した選手が、写真判定の為に設置されているマットに衝突したのです。
その後、心肺停止となり懸命な処置も虚しく亡くなられました。
落車した選手だけが危険に晒されるだけでなく、その影響はレースに出場している全員に及ぶので選手たちは細心の注意を常に払っています。
その1つ前の死亡事故は2010年広島競輪でのレース。
最終周回の3コーナー付近で転倒しました。
心肺停止の為そのまま病院に搬送されましたが亡くなられました。
死因は虚血性心疾患です。
このように落車以外が原因の死亡事故も発生していますが、やはり選手同士の接触事故が原因による死亡事故が大半。
最近は目立った死亡事故は怒っていませんが、以前も含めてではガールズケイリンで死亡事故などは起こっているのでしょうか?
現在までに女子選手の死亡事例はなし
競輪競技では死亡事故が7件発生していると紹介しました。
この7件、実は全て男子の選手で今までに女子の選手での死亡事故は発生していません。
競輪発足当時に15年、そして2012年に復活した短い期間と2012年から死亡事故が起きていないことを考えると妥当かもしれませんね。
しかし、ほんのちょっと何かが悪ければ死亡事故に繋がったであろう事故は発生しているのは事実。
その事故の事例やその選手のその後を紹介していきます。
永塚祐子選手(腰椎圧迫骨折)
ホームバンク | 川崎競輪場 |
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期別 | 118期 |
生年月日 | 1985年10月25日 |
身長 | 168.1㎝ |
永塚祐子選手は不動産会社出身の元キャリアウーマン。
そこからガールズケイリンに転身した異色の選手です。
なった理由は、自らの力で稼げることに魅力を感じたとのこと。
競輪学校では年齢差がかなりある選手に囲まれた状態でしたが、養成所で優れた選手に贈られるゴールデンキャップを2度獲得するなど実力は確かなものでした。
そんな永塚祐子選手は2021年2月に初優勝を飾りますが、その直後に小倉競輪場でのレースで落車。
診断結果は腰椎圧迫骨折の重傷でした。
レース復帰後も腹筋に力が伝わりにくいなどの後遺症があったようですが、現在もレースに出場されています。
石井貴子選手(血気胸など)
ホームバンク | 松戸競輪場 |
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期別 | 106期 |
生年月日 | 1990年2月17日 |
身長 | 163.1㎝ |
スキーの選手として活躍されていた石井貴子選手。
2014年にガールズケイリンでデビューして以降、2020年には5回目のビッグレースを制覇しています。
スキーで培った抜群の身体能力がケイリンで見事に活かされました。
そんな石井貴子選手は、2021年5月に京王閣競輪場で接触による落車に遭います。
診断結果は、血気胸及び右肋骨多発骨折の重傷でした。
このケガで心身ともに大きなダメージを受けたとブログに記されています。
その後は、リハビリとトレーニングに励み見事に復活。
現在も第一線で大活躍されていて、多くの競輪ファンに元気を与えました。
加瀬加奈子選手(脳挫傷,くも膜下出血など)
ホームバンク | 弥彦輪場 |
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期別 | 102期 |
生年月日 | 1980年5月31日 |
身長 | 164.0㎝ |
加瀬加奈子選手はガールズケイリンの1期生です。
スター選手の一人で好成績はもちろんですが、男子選手顔負けの先行スタイルが魅力の選手。
もともとはトライアスロンの選手で、その時から自転車競技は得意だったそうです。
2013年にビッグタイトルを獲得するなど順調だったのですが、2015年に四日市競輪で落車に遭います。
診断は脳挫傷。
頭部を強烈に打ち付けたことで脳に影響を与えかねない大事故でした。
本人も、気が付いたら病院のベットだったと語り、復帰にもかなりの時間を要したそうです。
これを機に一時は引退もよぎったようですが、見事な復活を遂げてその後もレースで優勝を重ねています。
この経験もあって、骨折くらいのケガなら普通だと本人談。
競争スタイル同様、強気な性格でここまで活躍されているのですね。
出口倫子選手(左肩の剥離骨折、脱臼)
ホームバンク | 佐世保競輪場 |
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期別 | 116期 |
生年月日 | 1996年10月14日 |
身長 | 160.2㎝ |
2019年7月に青森競輪場でデビュー。
2022年でデビューから3年で、まだ優勝どころか初勝利も未経験の選手です。
小さい体ながら一生懸命に競争する姿に魅力を感じる競輪ファンも多い出口選手。
そんな出口倫子選手は2021年に1月に広島競輪場で落車。
診断は左肩の剥離骨折と脱臼でした。
高校時代から自転車競技に取り組んでいるので落車やケガは覚悟していたようです。
しかし、ここまでの大ケガをするとは思っていなかったとコメントしています。
1ヶ月ほどの入院を経てリハビリ、トレーニングに取り組まれました。
その後レースにも復活して活躍されていますが、2022年5月に豊橋競輪場で再び落車に遭われたようです。
そこから欠場が続いているので心身ともに状態が心配されます。
吉川美穂選手(背骨骨折、脳挫傷)
ホームバンク | 和歌山競輪場 |
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期別 | 120期 |
生年月日 | 1993年1月15日 |
身長 | 167.0㎝ |
デビューは2021年5月の選手です。
もともとはソフトボールに取り組んでいたようですが、恩師からガールズケイリンの1期生を募集している事を聞いたのをきっかけに自転車競技の道へと進みました。
ソフトのオリンピックを目指して頑張っていましたが、夢叶わずだったことでガールズケイリンに飛び込んできたわけです。
競輪学校での順位は1位で、初優勝はデビューした月の5月と実力を思う存分発揮しています。
しかし、そんな吉川美穂さんも落車事故を起こしてしまいました。
事故が起きたのは2021年10月の大宮競輪場でのレース。
診断結果は背骨骨折、脳挫傷の重傷です。
背骨が折れて、脳にも影響がある状態を想像するだけで恐ろしいのですが、吉川美穂選手はなんとその2ヶ月後12月に復活しています。
しばらくは本調子とはいかないだろうと本人も、周囲も思っていましたがそこまで崩れることはありませんでした。
それでも、自信を無くしかけたこともあったと語る吉川美穂選手。
ここ最近の活躍は輝きを取り戻しているので、落車に遭わないことを祈りながら応援します。
ガールズケイリンは事故や怪我が起きやすい?
ガールズケイリンのレベルは年々上がっているように思います。
自転車競技に取り組んでいる選手のプロになりたいという気持ちが技術の向上に繋がっているのでしょう。
しかし、レベルが上がればレースが激しくなる為、今後は更に接触による落車が増加するのではないかと心配になります。
実は、落車した際のダメージは女子の方が大きいとの見方もあります。
■質問
女子競輪でも落車で死亡者が出る可能性はありますよね?
それとも、競りがないぶんだけ可能性は低いですか?
オートの坂井宏朱選手の殉職、非常に残念です。学校出てる以上、技術的に話にならないほど未熟というわけではないだろうに・・・・■ベストアンサー
競輪場に関わる仕事をしていたので
女子競輪選手の候補生の走りはよく目にしましたが
女子は男子に比べると落車の仕方が非常に危険だなと感じています。
まず落車時は、ハンドルから手を離さず体を丸めるのが基本です
その状況によってたとえ手が離れてしまっても
男子は首をすくめたり肩を入れて背中から落ちるといったとっさの状況判断を出来る人が多いのですが
女子の場合は「転ぶ」とわかった瞬間から、手をつこうとして体を開きビタン!と顔や胸から落ちる人が多かったように感じます。バンク外側に転べばまだいい方で(それでも顔面や腕に酷い擦過傷や、各部骨折を負いますが)
引用元:Yahoo!知恵袋
内側に転ぶときにそれをやってしまうと落差がある分非常に危険です。
ある男子競輪選手は「学校で柔道を導入して受身のとり方を覚えさせたほうがいい」
と言っていましたが、現在競輪学校でそのような授業が取り込まれているかは不明です。
スピードの追求やパワーアップに力を注ぐ事はもちろんですが
安全な転び方をみっちり教え込み、オートレースの二の舞になる事だけは避けてもらいたいものですね。
男子は落車すると感じた瞬間に首や肩を入れて背中から落ちるのに対して、女子は手をついたり顔や胸から落ちるのが多いようです。
競輪学校でも落車した際の練習はあると思いますが、危険を察知すれば体は反射的に動きます。
危険な落車ですが、危険を軽減できるように落ち方の練習も体に染みつくまでやって欲しいです。
女子競輪選手の死亡事故が起きないことを願って
紹介してきたように、競輪は人力ならではの魅力がある一方で常に危険と隣り合わせの競技です。
それは華やかに感じる女子の世界、ガールズケイリンも例外ではないことが分かっていただけたと思います。
選手の技術力向上と比例してレースは激しくなり、落車の危険は一層高まっている昨今の競輪競技。
今までガールズケイリンでは死亡事故こそ発生していませんが大きな事故は発生しています。
これからも死亡事故は絶対発生しないように、大きなケガに繋がる事故も発生しないように願いましょう。