競輪の速度について徹底追及!他の公営競技との速さを比較してみました
公営競技で唯一、人力での競争が行われる競輪。
春夏秋冬関係なく、雨の日も雪の日も選手達は熱気ある勝負で観客を盛り上げています。
レースが始まると選手たちの勝敗に目が向けられがちですが、実際に競輪で競争中にどれくらいの速度が出ているかご存知でしょうか。
競輪の最高速度は普段の生活で乗っている自転車の約2倍〜4倍の速度が出ているようです。
今回は、なぜ競輪はそんなに速度が出るのかという点について徹底的に調べてみました。
また、他の公営競技と速さはどれくらい違うのか、ガールズケイリンはどうなのかなど、速度に関する気になることをこの記事でご紹介していきます。
競輪の速度について
映像や直接見ると遅く感じる競輪ですが、実はもの凄い速さで駆け抜けているのが現実です。
スタート直後は誘導員の後ろを走り、時速30km~40kmで走ります。
その後、残り1周半(約600m)になると誘導員はコースの内側に捌けていき、ラスト1周になると選手たちがペダルをMAXで漕ぎ始めます。
この時に出る最高速度は男性で時速70km。
一般道を走る自動車と同じ速度でアツいレースが繰り広げられます。
ちなみに、平均速度は時速65kmと言われており、時速70kmを出せる選手は一握りです。
女子競輪選手(ガールズケイリン)の速度
男子選手は70km程度の速度が出ていると紹介しましたが、ガールズケイリンで勝負する女子選手の速度はどうなのか。
調べてみたところなんと、女子選手でも60km以上の速度が出ているようです。
これは上りタイムから計算した結果の速度なので、実際はもっと速度が出ているかもしれません。
いずれにしても、女子選手でもこれだけの速度で勝負しているのには驚きです。
そして、この速度を出す為に男子顔負けの練習をされているのでしょう。
誘導員の速度
競輪ではペースを保つ為に、周回ごとの基準タイムが設定されています。
そのペースを守るペースメーカーの役割を果たすのが誘導員です。
また、風よけの役割も果たしています。
1週目は何秒、2週目は何秒と競輪場の周長やA級、S級によってタイムが決められて、プラスマイナス1秒で走ることを求められるのです。
そんな誘導員の速度は30km程度で走行し、設定されたタイムを守りながら最終的に40km程度まで上げてレースから離れていきます。
誘導員になるには試験があるようで、競輪選手しかなることは出来ません。
G1やGPなどの大きなレースになると有名な選手も誘導員を務めています。
最高速度に到達するのはどのタイミング?
では、競輪で最高速度が出る瞬間はいつなのでしょうか。
それは、やはり最終周回の直線、ゴールの瞬間です。
ここまでにも紹介している通り、競輪は途中まで誘導員のペースに従って同じ速度で走ります。
レースが動くのは誘導員が退避してからで、残り1周半になる頃からペースが上がり始めるのです。
しかし、この時点では駆け引きがありますし、いきなり全力では最後まで体力がもちません。
他の選手を牽制したり、前を走る選手を風除けにしたりして残り半周から一気に勝負をかけます。
そして、スピードに乗った状態で無我夢中に全力で最終直線を漕ぐのでゴールの瞬間の速度がMAXになるわけです。
競輪のタイムは残り半周で計測するので、そこでしか判断できないのも事実です。
競輪で最高速度70kmを出せる5つの理由
自転車で車とほぼ同じ速度でレースをする競輪選手。
人力のみでこれだけの速度が出せる理由はどこにあるのでしょうか。
普段から厳しいトレーニングに耐えて得た力なのは間違いないですが、その他にも競輪選手、競輪ならではの理由があるので紹介していきます。
競輪選手が体格に合わせてオーダーメイド
競輪選手がレースで使用する自転車はオーダーメイドです。
ただ自転車を買うわけではなく、パーツ一個一個を体格や自分のレーススタイルに合わせて注文します。
代表的なパーツに自転車の骨になるフレーム、ハンドル、サドル、ペダルから始まり、タイヤやギアもオーダーメイドです。
フレームには既製品が存在しないので、選手から受けたオーダーで職人が制作していきます。
しかし、スピードが出るように好きなようにカスタムしていいわけではありません。
競輪は公営競技なので厳しい規格があります。
当然、全ての選手が企画に従ってオーダーするので結果的に同じものが多いのも事実。
厳しい規格内で細かい部分を拘って自分に合った自転車を製作することで、最高速度70kmが実現出来るのです。
ちなみに、全てのパーツを揃えてレースに出れる状態にするには約50万円します。
タイヤだけでも1本で約1万円。
速度を出すためにはお金も掛かることが現実です。
ママチャリとは違う競輪専用自転車の使用
オーダーメイドで製作された競輪用の自転車はレーサーと呼ばれる自転車です。
金額については先程触れましたが、当然性能も自転車とレーサーでは全く異なります。
軽さはママチャリの半分程度の重量7㎏、タイヤの太さはママチャリが35㎜に対して22㎜です。
また、自転車のギヤが後輪に設置されている為、レーサーを漕いだ力がダイレクトに伝わる設計になっています。
レーサーはとにかく選手の力を最大限に活かせて、最高速度を出せるように設計された自転車なのです。
競輪場のカント(傾斜)による加速
競輪場は画面で見ると伝わりにくいですが、平面を走っているわけではなく実はかなりの角度(傾斜)があるのです。
その角度のことをカントといいます。
直線では2度〜4度程度、コーナーでは25度〜35度程度の角度があるんです。
このカントをうまく利用することが出来れば速度が出て勝利へ近づけることになります。
カントの傾斜によって車券戦略にも影響するので、自分が投票する競輪場のカントについて調べることは重要になるでしょう。
ちなみにカントがきついとされている競輪場は川崎競輪、名古屋競輪、前橋競輪等が有名です。
「もがき」と呼ばれる競輪のテクニック
競輪で速度70kmが出せる要因の一つに「もがき」というテクニックが存在します。
もがきとは息を止めて全力で自転車を漕ぐテクニックで、肺活量が多ければ多いほど速度に影響してくる技です。
ゴール後には歩くことができないほど消耗するので、ここ一番の勝負どころで発揮する技になります。
鍛え上げられた競輪選手の脚
競輪で速度を出す為に欠かせないのが脚です。
競輪は公営競技で唯一の人力と説明した通り、自転車にもこだわりますが最後は鍛え上げられた脚が勝負の決め手となります。
競輪ファンの中では脚は競輪のエンジンと呼ばれており、筋肉の付け方によってスタミナ型とパワー型、スピード型で分かれます。
良いエンジンがあれば、速度が出てレースでも勝てるのは当然なので脚力は重要な項目です。
競輪と他の公営競技の最高速度の比較
競輪の最高速度についてご紹介してきましたが、他の公営競技との速度はどれくらい違うのか。
競艇・競馬・ロードレース・オートレースの速度を調べてみました。
競輪と競艇の最高速度の違い
競艇も競輪同様に決められた周回数を競う競技。
競輪とは違ってモーターボートを使用して走行します。
速度に差が出ないように同一のエンジンが取り付けられているので、競輪のように選手によって速度に大きな差は出ません。
気になる速度は時速80km程度。
人力の競輪とは約10kmしか違いが無いことに衝撃です。
ただ、水面ギリギリを走行していることから体感スピードは競艇の方が早く感じるそうです。
競輪と競馬の最高速度の違い
競馬は馬に人が乗って競う競技で、馬によって能力の差が出やすくなっています。
人間のように言葉を話し競う闘争心が統一ではないので、馬をコントロールする騎手もレースに関係してきます。
馬と人間の相性によって速度に差が出るので、競輪とは少し異なるでしょう。
時速は70kmくらいと言われており、速度に関しては競輪と同等。
ただ、競輪のように最後の1周ではなくスタート直後から常に時速70kmで、ラストスパートになるともっと伸びることもあります。
競輪と競馬で競うことがあるのであれば、距離によって勝敗は分かれそうです。
競輪とロードレースの最高速度の違い
同じ自転車を使用した競技のロードレースですが、最高速度は時速40km程度。
競輪と比較すると遅いですが、競技の性質が全然違うので比較することが難しい点はあります。
陸上競技で例えるなら、競輪は短距離走でロードレースは長距離走。
鍛え方も違えば自転車の種類も違います。
スタミナが重視されるスポーツなので、速度というよりどれだけ一定のスピードで勝負出来るかが肝となってくるでしょう。
競輪とオートレースの最高速度の違い
バイクを使用してレースをするオートレースの最高速度は、なんと時速150km。
競輪の倍の速度でレースが行われます。
平均速度でも時速90km程度出ているようで、公営競技のなかではズバ抜けたスピード競技です。
しかも驚くことに、ブレーキが装備されていません。
競輪もブレーキは付いていませんが、速度が2倍以上違うので事故に繋がりやすくなっています。
競輪の速度のまとめ
競輪の速度について紹介してきました。
競輪は公営競技で唯一の人力勝負でありながら、最高速度で時速70kmというスピードレースを行うエキサイティングな競技です。
それを実現しているのは選手の練習、自転車のセッティング、競輪場の特徴を活かしたレース運びなど選手の努力だということが言えます。
常に危険と隣り合わせの競技ですが、選手の努力と安全第一を心がけてこれからも魅力溢れるレースで興奮させて欲しいですね。